[No.111-1]ヒカリとカゲ
No.111-1
「大丈夫か?」
莉依(リイ)が小刻みに震えている。
「うん・・・いつもより緊張してるだけ」
莉依のマネージャーになって、2年が経過した。
タレントとして、ようやく軌道に乗り始めようとしている。
スカウトしたものの、目立つことを嫌う性格だった。
もちろん、タレントとしては致命的だ。
けど、それを変えたい・・・そんな想いを聞いた。
「私はカゲのように生きてきた」
二十歳そこそこの女の子とは思えない言葉だった。
彼女に何があったのか、聞かなかった。
いや・・・聞けなかった、が本音だ。
「そろそろ出番だよ」
「はいっ!」
出番が近付くほど逆に落ち着きを取り戻している。
顔もすっかりプロの表情だ。
迷いは感じられない。
「じゃあ、行ってきます!」
彼女がステージへ飛び出した。
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