[No.108-2]約束の時間
No.108-2
自分も時間には正確だ。
それに、由香と同じように時間には余裕を持たせている。
「自分もそうなんだけど、どうして?」
「嫌われたくないねん」
確かにそうだ。
時間にルーズだとその内、親友だって許せなくなる。
けど、そんな雰囲気じゃない。
思い詰めた表情が気になる。
思わぬ展開にならなきゃいいが・・・。
「うち・・・なぁ、こんな生き方しかでけへんねん」
「・・・居候ってこと?」
由香が男性と暮らしているのは知っている。
半分真剣、半分転がり込んだように聞いた。
「ひとりでは生きられへんから、気つかうしかないんよ」
「だから嫌われまいと・・・?」
「しんどいよ正直・・・」
体じゃなくて、心が疲れてるんだろう。
「特に、一真と逢う時は疲れるねん」
「そうか・・・気をつかわせてごめん」
「違うよ!」
「早く逢いたし、はりきりすぎて、逢う前から疲れてんねん」
彼女の笑顔と共に時計の針が19時を指した。
(No.108完)
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