[No.107-1]四葉のクローバー
No.107-1
美羽(みう)から借りた本に、しおりが挟まれていた。
「へぇー、四葉のクローバーか」
和紙と組み合わせてうまく作ってある。
手作り感が温かい。
小さい頃、友達とよく探しに出掛けた。
どちらがより多く、見つけられるか・・・。
当時は、ただ競い合うことだけが目的だった。
勝負が付けばその役目は終る。
久しぶりに四葉のクローバーを手に取る。
あの頃には感じなかった想いが巡る。
(なんだか変な感じ・・・)
その価値を感じなかった、あの頃。
その価値を分かり始めた、いま頃・・・。
何かに頼りたい時だってある。
それが例え小さな存在だったとしても・・・。
「アハハ、大人って勝手だよネ?」
四葉のクローバーに話し掛ける。
『そうね、あまり大きな願い事は無理かな?』
そう言いたげな表情だった。
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