« [No.106-2]イルミネーション | トップページ | [No.107-2]四葉のクローバー »

[No.107-1]四葉のクローバー

No.107-1

美羽(みう)から借りた本に、しおりが挟まれていた。

「へぇー、四葉のクローバーか」

和紙と組み合わせてうまく作ってある。
手作り感が温かい。

小さい頃、友達とよく探しに出掛けた。
どちらがより多く、見つけられるか・・・。
当時は、ただ競い合うことだけが目的だった。
勝負が付けばその役目は終る。

久しぶりに四葉のクローバーを手に取る。
あの頃には感じなかった想いが巡る。

(なんだか変な感じ・・・)

その価値を感じなかった、あの頃。
その価値を分かり始めた、いま頃・・・。

何かに頼りたい時だってある。
それが例え小さな存在だったとしても・・・。

「アハハ、大人って勝手だよネ?」

四葉のクローバーに話し掛ける。

『そうね、あまり大きな願い事は無理かな?』

そう言いたげな表情だった。

(No.107-2へ続く)

| |

« [No.106-2]イルミネーション | トップページ | [No.107-2]四葉のクローバー »

(005)小説No.101~125」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.107-1]四葉のクローバー:

« [No.106-2]イルミネーション | トップページ | [No.107-2]四葉のクローバー »