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[No.106-1]イルミネーション

No.106-1

気が早い準備は相変わらずだ。

聖夜を意識させるイルミネーションが街角を彩り始めた。
灯りこそ点いてないけど、雰囲気は十分伝わる。

「そう言えば、普通の家でもやってるよね?」
「そうよね・・・近所にも居るわよ」

最近では、普通の家でも飾り付けがすごい。
始めは単に「綺麗だから」の理由だったと思う。
それが気付いて見れば・・・どうだろう。
競い合うかのように、ある一帯が不夜城に変わる。

「ほんと、夜のネオン街じゃないんだから・・・」
「確かにそうよね」
「でも、灯りに誘われてしまうのは、本能なのかな?」
「本能・・・って、虫じゃないんだから」

「あっ!」

そうこう話している内に、イルミネーションが輝き始めた。

「見て・・・綺麗ね・・・」

雪の結晶をモチーフにしたイルミネーションだ。
微妙な光の点滅は、舞い降る雪をイメージさせる。

「ふぅ・・・・」
「どうしたの?タメ息ついちゃって」
「まぁね、今年も始まったのかって・・・ね」

知世が言いたいことは分かる。

独り身には辛い季節がやってきた。

(No.106-2へ続く)

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