[No.106-1]イルミネーション
No.106-1
気が早い準備は相変わらずだ。
聖夜を意識させるイルミネーションが街角を彩り始めた。
灯りこそ点いてないけど、雰囲気は十分伝わる。
「そう言えば、普通の家でもやってるよね?」
「そうよね・・・近所にも居るわよ」
最近では、普通の家でも飾り付けがすごい。
始めは単に「綺麗だから」の理由だったと思う。
それが気付いて見れば・・・どうだろう。
競い合うかのように、ある一帯が不夜城に変わる。
「ほんと、夜のネオン街じゃないんだから・・・」
「確かにそうよね」
「でも、灯りに誘われてしまうのは、本能なのかな?」
「本能・・・って、虫じゃないんだから」
「あっ!」
そうこう話している内に、イルミネーションが輝き始めた。
「見て・・・綺麗ね・・・」
雪の結晶をモチーフにしたイルミネーションだ。
微妙な光の点滅は、舞い降る雪をイメージさせる。
「ふぅ・・・・」
「どうしたの?タメ息ついちゃって」
「まぁね、今年も始まったのかって・・・ね」
知世が言いたいことは分かる。
独り身には辛い季節がやってきた。
| 固定リンク | 0
「(005)小説No.101~125」カテゴリの記事
- [No.125-2]気の早いタンポポ(2009.12.25)
- [No.125-1]気の早いタンポポ(2009.12.24)
- [No.124-2]歌えないカナリア(2009.12.23)
- [No.124-1]歌えないカナリア(2009.12.22)
- [No.123-2]チャーミング(2009.12.20)
コメント