[No.105-2]涙のオルゴール
No.105-2
「どんなんか、楽しみやなぁ」
普段でもクリクリの目玉が、いっそうクリクリしている。
「き、き、きんちょうするなぁ・・・」
「あんたが緊張してどないすんねん」
「う、うん・・・はい、これ!」
(あれ、反応がない?)
「まず、開けてもええか?」
そうだった・・・裸で渡した訳じゃない。
「ごめん、開けていいよ」
「あ!これ・・・」
リラックマ、コリラックマ、キイロイトリが黄色い食卓を囲んでいる。
その土台には時計も付いている。
「どう・・・かな?」
「うちなぁ、これが夢やったんよ」
「みんな、たのしそうでええなぁ」
菜緒の頬を涙が伝う。
菜緒には楽しく食卓を囲んだ記憶がない。
「ごめん、思い出させちゃった?」
「ううん、違うよ・・・未来を想像したんよ」
(No.105完)
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