[No.104-2]秋に想う
No.104-2
「本当はね・・・」
「秋の方が空が低いと思うんだ」
「どうして?」
真理子が理由を話し始めた。
「入道雲か・・・」
確かに、それ自体に立体感がある。
真っ白な雲がもくもくと天へと続くイメージもある。
青が濃い空とのコントラストも、それを一層感じさせる。
夏の空は高い・・・か。
「変かな?」
「いいや、逆に新発見かもしれないよ」
「学会に発表するのはどうかな?」
真理子の目が笑っている。
「そう考えると、本当に空が低く見えてきたよ」
秋の象徴とも言える、うろこ雲が広がっている。
「あ・・・」
真理子が何か気付いた声をあげた。
「空は低いけど・・・」
「ほら見て・・・ずっと遠くまで続いてるよ」
今にも水平線に消えそうな夕焼けを指差す。
空は低くとも果てしなく、続いている。
(No.104完)
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