[No.98-2]小さな巨人
No.98-2
軽くジャンプした。
それだけで、いとも簡単に石を乗っけることができた。
(あれだけ苦労しても、だめだったのに・・・)
それなのに・・・なんでだろう?
少しも嬉しくない。
「ねぇ・・・何をお願いしたらいいの?」
願い事が無い自分に気付く。
手に入れられないものは今でも有る。
だけど、願い事をした所でどうにもならない。
「もう、帰ろう」
鳥居に背を向けて歩き出した瞬間だった。
(カチャン・・・)
「何だろう・・・?」
石が弾けたような音が聞こえた。
すると、コロコロとひとつの石が転がってきた。
(鳥居の上から落ちて来た・・・?)
それを手に取る。
(何をお願いしたかったの?)
目を閉じ自分に問い掛ける。
あの頃の光景が脳裏に浮かぶ。
そこには、ただ一生懸命だった私が居た。
(あ!乗った・・・)
(No.98完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(004)小説No.76~100」カテゴリの記事
- [No.100-2]冬のホタル(前編)(2009.10.27)
- [No.100-1]冬のホタル(前編)(2009.10.25)
- [No.99-2]パラレルワールド(2009.10.24)
- [No.99-1]パラレルワールド(2009.10.23)
- [No.98-2]小さな巨人(2009.10.22)
コメント