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[No.98-2]小さな巨人

No.98-2

軽くジャンプした。
それだけで、いとも簡単に石を乗っけることができた。

(あれだけ苦労しても、だめだったのに・・・)

それなのに・・・なんでだろう?
少しも嬉しくない。

「ねぇ・・・何をお願いしたらいいの?」

願い事が無い自分に気付く。
手に入れられないものは今でも有る。
だけど、願い事をした所でどうにもならない。

「もう、帰ろう」
鳥居に背を向けて歩き出した瞬間だった。
(カチャン・・・)
「何だろう・・・?」
石が弾けたような音が聞こえた。
すると、コロコロとひとつの石が転がってきた。

(鳥居の上から落ちて来た・・・?)

それを手に取る。

(何をお願いしたかったの?)
目を閉じ自分に問い掛ける。
あの頃の光景が脳裏に浮かぶ。

そこには、ただ一生懸命だった私が居た。
(あ!乗った・・・)

(No.98完)

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