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[No.97-1]涙は心の汗

No.97-1

涙は心の汗・・・言わずと知れた名言だ。

名言に解説を加えるほど野暮なことはない。
伝わる雰囲気を、ただ感じるだけでいい。

「最近、仕事頑張ってるよね?」

周辺から、頻繁にそう言われるようになった。
自分でもそう思う・・・思うだけじゃなく、本当にそうだ。

頑張るきっかけがあった。
失恋の痛手を忘れたくて、友人に相談した。

「人それぞれだけど・・・」
「私はただ、がむしゃらに働いたな」
当時を懐かしむように言った。

「仕事・・・か・・・逆に寂しさを感じなかった?」
反論する訳ではないけど、少し引っ掛かる。
「それは否定しない」
「けど、それを忘れるぐらい働いたわ」

仕事のことで頭を満たす。
余計なことは一切、考えない。
いや、考えられない・・・が正しい表現だろう。
自分なりの方法で、悲しみという鬼を追い出す・・・か。

「それで、忘れられた?」
「どうかなぁ?ま、涙は心の汗・・・ってことで」

はぐらかされた気もするし、的を得ている気もする。

(No.97-2へ続く)

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