[No.96-2]巡るギザ十
No.96-2
日替わりランチでも、そこそこ話が盛り上がった。
ことの始まりがギザ十なのに。
「今度、こうしない?」
何やら怪しげな提案の予感がする。
「ギザ十が手に入ったら、ランチをおごるのはどう?」
「・・・あんたは言わないでしょ?」
「あっ!それも、そうね・・・」
あれや、これや話は続いた。
(こんなに会話が弾むのも、ギザ十のお陰ね)
こいつが、小さな幸せを運んで来てくれた。
「それ、どうするの?」
「そうね・・・記念に持ってようかな・・・」
幸せを手放すようで、少し惜しい気がしてきた。
「けちッ!」
今度は私が言われた。
「みんなに分けてあげようよ・・・小さな幸せ」
友人の言うとおりだ。
その恩恵を独り占めするのも気が引ける。
「うん、そうする。買い物したら、使っちゃうよ」
(・・・待てよ・・・)
「ねぇ?また誰かにおごってもらう魂胆でしょ!」
驚いた顔が、その答えのようだ。
(No.96完)
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