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[No.95-2]マイノリティ

No.95-2

どちらかと言えば、こんにゃくは脇役だ。

ヘルシー志向でもない限り、そんなに積極的には食べない。
大根、玉子、巾着・・・・。
名だたる人気者を差し置いて、こんにゃくとは・・・。
亜希子はここでも個性的だ。

「ほんま、こんにゃくは、おいしぃわ」

ようやく落ち着いてくれたようだ。
けど、本当は落ち着くまでの間が楽しい。
こんにゃくひとつで、これだけ話が盛り上がる。

「お腹いっぱい、食べたわ」
気付けばペロリと平らげ、満足気な顔をしている。
・・・なら、そろそろ聞いてもいいだろう。

「なんで、こんにゃくが好きなの?」
「なんでか、って?そやね・・・」
珍しく、考え込んでいる。

「マイノリティ・・・かも知れへんな」

(へぇー、意外な言葉を知ってる・・・)

「少数派ってことだろ?」
「うん。うち、そんなんが好きやねん」
「好きな味だとか、見た目がどうとか・・・じゃなくて?」
「見た目?気にしたことないし」

理由は・・・無いか・・・。
それも亜希子らしいと言えば、答えになるのかもしれない。

「マイノリティ・・・なら、俺を選んだのもそう?」
軽いジョークのつもりだった。
「な、な、なんで分かったん!」
亜希子が真顔で言った。

「味は一応、気にしたつもりやけど」

見た目はどうでもいいらしい・・・。

(No.95完)

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