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[No.95-1]マイノリティ

No.95-1

「そやね・・・それと、それと、それ頂戴!」

「これと、これと、これ・・・って全部、こんにゃくやんか!」

亜希子と屋台のオヤジとのワンシーンだ。

さすが、大阪・・・打合せもなく、漫才が成立している。
彼女は“おでん好き”だ。
だから、旬にはまだ早いけど、先取りして誘った。

「こんにゃくが好きなんだ?」
関西弁に割って入る。
「そやで、知らんかったん?」
おでんが好きだとは知ってたけど、まさかこれとは・・・。

「なんか、文句あるぅ?」
亜希子が不機嫌な顔をする。
「えっ!、そんなんじゃなくて・・・」
「じゃ、どないやねん?」

ふと気付くと屋台のオヤジが笑っている。

「ええ、コンビや」
(オヤジ・・・そんな無責任な・・・)

しばらく、漫才は続いた。

「とにかく、分かった・・・分かったから!」
「ほんまに?せやったら、ええわ」
「ほな、別の具でも、頼もかいな」
(なんだぁ・・・他にも好きな具、あるんだ)

「おっちゃん!しらたき、ちょーだい!」
「・・・」
「いま、突っ込むとこやでぇ!」

(えっ!そうなの?)

オヤジの域は、まだ遠い。

(No.95-2へ続く)

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