[No.95-1]マイノリティ
No.95-1
「そやね・・・それと、それと、それ頂戴!」
「これと、これと、これ・・・って全部、こんにゃくやんか!」
亜希子と屋台のオヤジとのワンシーンだ。
さすが、大阪・・・打合せもなく、漫才が成立している。
彼女は“おでん好き”だ。
だから、旬にはまだ早いけど、先取りして誘った。
「こんにゃくが好きなんだ?」
関西弁に割って入る。
「そやで、知らんかったん?」
おでんが好きだとは知ってたけど、まさかこれとは・・・。
「なんか、文句あるぅ?」
亜希子が不機嫌な顔をする。
「えっ!、そんなんじゃなくて・・・」
「じゃ、どないやねん?」
ふと気付くと屋台のオヤジが笑っている。
「ええ、コンビや」
(オヤジ・・・そんな無責任な・・・)
しばらく、漫才は続いた。
「とにかく、分かった・・・分かったから!」
「ほんまに?せやったら、ええわ」
「ほな、別の具でも、頼もかいな」
(なんだぁ・・・他にも好きな具、あるんだ)
「おっちゃん!しらたき、ちょーだい!」
「・・・」
「いま、突っ込むとこやでぇ!」
(えっ!そうなの?)
オヤジの域は、まだ遠い。
| 固定リンク | 0
「(004)小説No.76~100」カテゴリの記事
- [No.100-2]冬のホタル(前編)(2009.10.27)
- [No.100-1]冬のホタル(前編)(2009.10.25)
- [No.99-2]パラレルワールド(2009.10.24)
- [No.99-1]パラレルワールド(2009.10.23)
- [No.98-2]小さな巨人(2009.10.22)
コメント