[No.94-2]やっかいな恋
No.94-2
「お互いフリーなんだから、気楽に行けば?」
「そうなんだけど・・・」
確かに、お互い独身で、恋人もいない。
でも、思った以上に、臆病になってしまう。
「ある意味、やっかいな恋ね」
自分で発した言葉は、軽いようで重い。
仮に付き合って、仮に別れたとしたら・・・。
もう・・・友達には戻れない。
「それでも、いいじゃない」
「彼を好きになった、それが友達だっただけの話よ」
聡子が背中を押してくれる。
「それって、経験談?」
「あら、よく知ってるわね」
二人で顔を見合わせて笑った。
冗談のつもりが、本当だったらしい。
だからこそのアドバイスだったのかもしれない。
「好きです」
後日、彼に気持ちを伝えた。
この一言で、私たちは結婚するに至った。
「ねぇ、もし私がフラれたら、どう慰めてくれた?」
「考えてなかったよ。
だって、彼もあなたのこと好きだったの知ってたし」
やっかいな恋・・・臆病にならないで。
(No.94完)
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