[No.94-1]やっかいな恋
No.94-1
(ポチャン・・・)
最初は、とても小さな音から始まった。
・・・と、同時に、そこから小さな波紋がひとつ生まれた。
そして、ふたつ、みっつ、よっつ・・・・。
数を増やしながら、波紋が大きくなった。
やがて、その先が見えなくなるぐらい広がっていった。
私は、その見えない先をずっと、眺めていた・・・。
好意は持っていた。
けど、特別な気持ちはなかった。
それが、ある瞬間、恋心に変わった。
(小石を投げ入れたのは誰?)
冷静になろうとする自分がいる。
事の始まりは、私だろうか、それとも彼・・・?
どちらにせよ、私の水面(みなも)は今、乱れている。
小石は気が付けば、大きな波紋へと変わっていた。
そして、波紋は今も止まろうとする気配を見せない。
「どうするの?」
聡子が見かねて声を掛けてきた。
「わかんない・・・ただ・・もう友達じゃいられない」
正直に答えるしかない。
友情が恋心に変わる・・・珍しい話ではない。
ただ、もう普通には逢えない。
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