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[No.93-2]無くならないもの

No.93-2

「落ち着いたら連絡して」

高校からの友人が、引越しの手伝いに来てくれた。

「そうね、ありがとう来てくれて」
「はい、せ・ん・べ・つよ」
「わぁ!現金?」

冗談はほどほどに、友人からある物を手渡された。

「間違って捨てられてたわよ」
それはピンクのブラシだった。
「あっ・・・うん・・・ありがとぉ」
捨てたとは言いにくい雰囲気に、つい肯定してしまった。
(また、残っちゃった)
二度捨てるのは、さすがに気が引ける。
そのまま引越しの荷物に詰め込んだ。

(あれ・・・どこ行ったっけ?)

荷物に詰め込んだはずのピンクのブラシが見当たらない。

(うそ・・・無くした?そんな・・・)

ブラシは引越しの車の中に落ちていたらしい。
後日、無事私の元へ届けられた。

「ごめんね」

物に心はない。
けど、触れる人のぬくもりを感じることができる。
だから、“失くさない”で欲しい。

(No.93完)

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