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[No.93-1]無くならないもの

No.93-1

「そう言えば・・・・」

毎日、髪のセットに使っているブラシがある。
ピンク色のスケルトンタイプだ。

確か高校の時、繁華街の雑貨屋で買った。

あれから就職して地元を離れ、何度か引越しもした。

(あれ・・・どこ行ったっけ?)
(もう、要らない・・・)

その度に、色んなものを無くしたり、捨てたりもした。
それなのに・・・。
このピンクのブラシだけは、今もこうして残っている。
気付けば、私の過去を知る品物なんてこれ以外ない。
あれも、これも新参者だ。

特に意識して大切にしていた訳でもない。
ブラシには悪いけど、たまたま手元に残っているだけだ。

(わざと捨てちゃうか・・・)

そうなると、少し意地悪なことを考えてしまう。
どうせ、想い出の品でもないし、安物だ。

来週、引越しする。

そのついでに捨ててしまおう。

(No.93-2へ続く)

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