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[No.88-2]虹のマーチ

No.88-2

「虹?・・・それにしては無色透明ね」

「どうぞ、召し上がってみて下さい」
どうやら、見た目じゃなくて味に秘密があるらしい。
一口飲んでみた。

舌のあちこちを、それが刺激する。
それぞれの場所で、様々な味を感じる。

「わぁ・・・!」

弾けるような感覚に思わず、声が漏れてしまった。
それに、喉を通過する時に、それがまたひとつになる。
虹のマーチ・・・ネーミングの妙を感じる。

(でも・・・)

「どうして、これが私のイメージなんですか?」
「グラスを揺らしてみてください」
言われるままにグラスを揺らしてみる。

「あっ!何層にも分かれている・・・」

一見、透明に見える層が、何層も重ねられている。
ひとつ、ふたつ・・・むっつ・・・ななつ・・・。

「動きださないと見えないもの・・・」
カウンターの向こうで、静かに語りかけてくる。
「それを応援してくれるのが、虹のマーチなのね?」

そう・・・私は恋をしている。

(No.88完)

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