[No.087-2]最後のページ
No.087-2
「読み終わったら、また持ってくるからね」
彼女の声が弾んでいるのが分かる。
あれ以来、僕は小説が好きになった。
「それが好きになった理由?」
結衣がサラリと聞いてくる。
昔々の彼女との話だ・・・隠す必要はない。
「そう、彼女の影響だよ」
「・・・なんかあるでしょ?」
嘘じゃない。
彼女から本を借りて読んでいるうちに好きになった。
ただ・・・。
「なんとなく・・・想像つくわよ」
数日後に、結衣から一冊の本を手渡された。
「多分、こういうことでしょ」
僕は急いで、最後のページをめくった。
結衣の感想がビッシリ書かれている。
「感想の感想を求めてたんでしょ、彼女は?」
彼女の感想が面白かった。
だから・・・本編を熱心に読むようになった。
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