[No.87-1]最後のページ
No.87-1
ことの始まりは単純だ。
単純すぎると、逆にその説明に困ることさえある。
学生の頃、よく読んでいた小説があった。
小説が好きだったわけじゃない。
その作家が好きだったわけでもない。
「これ、読んでみて!」
当時、付き合っていた彼女から、一冊の本を手渡された。
僕でさえ知っている有名な作家だ。
「・・・小説は、あまり好き・・・」
「じゃ、感想よろしくぅ!」
「おい、おい・・・」
反論を許さない勢いで、言葉をさえぎられた。
それに、足早に去っても行った。
小説は好きじゃない。
それは薄々気付いていたはずだ。
その作家の話が出ても会話が弾まなかった。
弾ませようともしなかったし・・・。
大袈裟だけど、少し途方に暮れた気分だ。
手にした本がやけに重く感じる。
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