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[No.86-1]始まりはただの人

No.86-1

ぼんやりと、文字を打ち込む・・・う・ん・め・い・・・。

『超自然的な力に支配され、人の上に訪れる巡り合せ』

辞書ほどではないけど、意味は分かっていたつもりだ。
それでも、あえて調べてみようと思った。
案外、重々しい。

運命の出逢い・・・。

決して聞き慣れない言葉じゃない。
むしろ、頻繁に使われている気がする。
重々しいのは、どんより曇ったイメージではない。
どこか神秘的で、厳格なイメージだ。
だから、日常的に使われることに少し、違和感を覚える。

(それでも何か違う・・・)

「考えごと?」
「あ、うん・・・ねぇ、運命の出逢いって、信じる?」
「いきなり、深い所へ落とすわね」
友人が言うのも無理はない。
女同士なら、朝まで論議が白熱するテーマだ。

「まぁ、そうね・・・信じなくもないけど・・・。
今、付き合っている人が、そうかと言われると・・・ね」

友人の正直な気持ちだ

仮に、そのまま結婚したとしても、そうだとも限らない。

運命の人・・・どの段階でそう思うのだろう。

(No.86-2へ続く)

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