[No.81-2]風を感じて
No.81-2
「物理や科学はさておき・・・」
彼が前置きをしてから切り出した。
「始まりは、自分の中にあるのかもしれないな」
風がなくても、走れば風を感じる。
自分が行動を起こすことで風を生む。
それが全力であるほど、強くなる。
「へぇー、なかなか考えたじゃん」
洒落た答えかもしれない。
走ることを“生き方”の例えにしている。
全力を出す・・・それも、風を生むひとつのエッセンスなんだ。
けど、何か足りない気がする。
(何だろう・・・)
すっきりしないまま、美術館を後にした。
夏の風が心地よい。
「・・・そっか!」
疑問への答えは、風が教えてくれた。
今、私に吹く風は、誰かが起こしてくれた風なんだ。
「ねぇ・・・走るよ!」
ふたりで全力で走った。
今も誰かに風が吹いている。
(No.81完)
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コメント
うふふ^^うんうん^^
自分自身で吹く風も
誰かが吹いていてくれてる風も
いつも 心のどこかで感じていたいですね
投稿: なっち♪ | 2009年9月 9日 (水) 23時02分
なっち♪さん、コメントありがとう。
質問です。冬の木枯らしはどうしましょうか(笑)
寒いだけの迷惑な存在?
いいえ、決してそうではありません。
恋人同士が肩を寄せ合うのは、なっち♪さんの
風のおかげ・・・かもしれませんよ。
投稿: ホタル | 2009年9月 9日 (水) 23時29分