[No.078-1]上を向いて
No.078-1
「ごめん!」
「もー!許してあげないから!」
京香が、そっぽを向いた。
半分本気、半分冗談の態度だ。
「甘いもの、お・・・」
京香と目が合った。
「パフェでしょ、ケーキでしょ、それから、えっーと・・・」
僕が最後までしゃべり終わる前に、伝わっている。
瞳の奥に、甘いものが映っている・・・ように見える。
早く機嫌が直るのも京香らしい。
いつも、この作戦が成功している。
(待てよ・・・)
作戦が成功しているのは、もしかして京香の方?
いつものことだけど、急に疑問に思う。
まぁ、とにかく仲直りできる作戦には間違いない。
「食べ過ぎたよ~」
結局、全ておごらされた。
「ちょっと休憩、休憩っと!」
無理やり公園のベンチに座らされた。
それでも通り過ぎる風が、案外心地よい。
| 固定リンク | 0
「(002)小説No.050~100」カテゴリの記事
- [No.100-2]冬のホタル(前編)(2009.10.27)
- [No.100-1]冬のホタル(前編)(2009.10.25)
- [No.099-2]パラレルワールド(2009.10.24)
- [No.099-1]パラレルワールド(2009.10.23)
- [No.098-2]小さな巨人(2009.10.22)



コメント