[No.75-1]追いつけない自転車
No.75-1
こんな経験はないだろうか?
自分の前を走る自転車とスピードがほぼ同じだ。
正確に言えば、自分の方が少し速い。
併走しようとしても、少しずつ距離が縮んでしまう。
(面倒だなぁ・・・追い抜こう)
ペダルに、今よりも力を入れた。
更に距離が縮んで行く・・・けど・・・。
(アレ?・・・おかしいな)
追いつきそうで、意外に追いつけない。
意識しなければ、距離は自然と近づいて行くのに。
何だろう・・・。
これって、何かの感覚に似ている。
自転車をゆっくり漕ぎながら、考えを巡らせる。
「遅れるぞ」
「わぁぁ・・・!」
突然、背中を叩かれた。
「お・さ・き・にぃ~」
クラスメートの山下君が勢いよく、通り過ぎた。
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