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[No.074-2]シャボン玉

No.074-2

「わぁ!ほら見て!」

シャボン玉でこんなに、はしゃげるなんて思わなかった。
高校生にもなって、ちょっと恥ずかしい気もする。

不規則に色が付いたガラス玉のようだ。

表情を様々に変えながら宙を舞う。
けれど、それはすぐに消えてしまい、静寂が戻る。

「ねぇ、卒業したらどうする?」

今まで聞けなかったこと・・・今なら聞ける気がした。

「考えてないなぁ・・・」

彼を責める気はない、お互い高校生だから・・・。

「ごめん、変なこと聞いて。よし!大きいの作るよ」

その言葉通り、大きなシャボン玉が生まれた。
二人の驚く顔を映しながら、それは夜空を駆け上がった。
「が・ん・ば・れ!」
二人の声が重なった。

「どうした?」
「ほら、シャボン玉・・・」

青空に浮かぶシャボン玉を指さす。
あの日、夜空を駆け上がったシャボン玉は、いつまでも消えなかった。

(No.074完)
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