[No.74-1]シャボン玉
No.74-1
頬に何か触れた。
(ん、あれ・・・?)
少し頬が濡れている。
一応、空を見上げて見る。
そこには雲ひとつない青空が広がっていた。
すぐにその疑問は解けた。
目の前をフワフワとシャボン玉が踊る。
それに、子供のはしゃぐ声が近い。
その声を目で追う。
「わぁ・・・!」
ひときわ大きいシャボン玉が横切る。
夏の日差しを受け、みずみずしく七色に輝く。
それが風に乗り、青い空を楽しそうに泳いでいる。
あの日と似た光景だった。
「やだぁ・・・何これ?」
狙いは、流行りのキャラクターグッズだった。
それが小さなピンク色の容器に変わった。
「それシャボン玉だよ」
「・・・ほんとだ」
彼と行った夏祭りのワンシーンだった。
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