[No.069-2]カウンターパンチ
No.069-2
第1ラウンドは分かりやすい。
公認のカップルか、みんなが知っている片思いの話だ。
「みんなダメになったよね?」
千恵の顔は、少しも残念そうに見えない。
新入社員と言う立場や環境が、何か勘違いを誘う。
スキー場などで、やたら異性が格好良く見えてしまうのと似ている。
環境が変われば、心も変わる。
「そう言えば知ってた?」
第2ラウンドの鐘がなった。
だいたい次は、うわさ話や、“知る人ぞ知る”話の展開だ。
「それで何を?」
千恵の反応を伺う。
「康子ね・・・実は・・・」
千恵の話が延々と続いた。
熱弁には悪いけど、はっきり言って興味はない。
それを察知したのか、千恵が鋭い視線を送ってきた。
最終ラウンドの始まりだ。
「じゃ、そろそろカミングアウトしてもらおうかな!」
「私、伊藤君と付き合ってたよ」
「え!マジ!」
開始早々、見事なカウンターパンチが決まった。
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