[No.065-2]夜景
No.065-2
「その前に“あなた”のことをいくつか当ててみましょうか?」
「面白そうね」
少し意地悪く答えた。
(新手のナンパ?)
例えそうであっても、暇つぶしには丁度いい。
その男性は、見事に“わたし”を言い当てた。
(何なの・・・この人・・・)
「どうして、私が地元の人だと分かったの?」
「この場所で写真を撮らない観光客は居ないよ」
なるほど・・・よく観察している。
「でも、私ひとりなのに、彼氏が居ると言ったよね?」
指輪はしていない。
ましてこんな所に、ひとりで来ている。
「“彼氏は居ない”と答えたら・・・口説くつもりだった?」
「それも良いですね」
男性は笑みを浮かべて答えた。
「でも、それじゃ、当たっていない」
確かにそうだ。
「じゃ、どうするつもりだったの?」
答えが気になる。
「“そんなことはない”と言います」
(どう言う意味・・・?)
「今、この瞬間に、彼氏が出来たでしょ!ってね」
「なに、それーって、もう!」
怒る気になれない・・・逆に、笑ってしまった。
「今なら、夜景を素直に見れるはずだよ」
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