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[No.59-1]見えない文字

No.59-1

由美には、不定期に過去の亡霊が訪れる。
その亡霊は時として、彼女に“死”を口にさせる。

「きれいごとよ!」

彼女に罵倒されたこともあった。
でも、“死”だけは否定し続けた。
そんな僕に、彼女は告げた。

『死ぬのはこわくない、でも悲しいよね』

死を覚悟する彼女に、否定できない何かを感じた。
メールの文字は、嫌になるぐらい冷静だ。

由美は分かっている。

死よりも、もっと辛いこと。
幸せになりたい・・・でも、幸せになれない・・・?
どうして・・・今でも・・・。
由美は、心の叫びを“悲しい”の一言にまとめた。
このまま死を選ぶことを、彼女自身も望んではいない。
”死を絶対に認めない”この気持ちに揺るぎはない。
でも、彼女自身は認めてあげたい。

『死を覚悟すること、すごいことだと思う・・・』
メールを打つ手が震えた。

(No.59-2へ続く)

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