[No.058-2]揺れるミニスカート
No.058-2
「幸せになろうな・・・・」
後姿に声を出して、語りかけた。
その瞬間、彼女の右手がスッと上がり、Vサインを出した。
まるで、声が届いたかのようなタイミングだ。
そして、振り返り、僕を真っ直ぐに見つめた。
人ごみが、そして時間が止まった。
舞台のワンシーンが目の前に広がる。
真っ暗なステージで彼女だけに、スポットライトが当たっている。
「あ・り・が・と・う」
口がそう動いたように見えた。
そのまま、少し後ずさりしてから、やがて階段を駆け上った。
彼女とは“運命の赤い糸”で結ばれてる特別な仲じゃない。
あの日、見えない糸が絡んだ。
その糸は今でも解けない。
それに、二人とも解こうともしていないだけだ。
| 固定リンク | 0
「(004)小説No.050~100」カテゴリの記事
- [No.080-2]暗闇からの目覚め(2009.09.06)
- [No.080-1]暗闇からの目覚め(2009.09.05)
- [No.079-2]心のスケッチ(2009.09.04)
- [No.079-1]心のスケッチ(2009.09.02)
- [No.078-2]上を向いて(2009.09.01)
コメント