[No.058-1]揺れるミニスカート
No.058-1
「じゃ、帰るね」
彼女を改札まで見送る。
改札に入る前に一度手を振り、入った後にもう一度手を振る。
別に決めたわけじゃない。
気付けばそれが見送りのスタイルになっていた。
人ごみの中でも、彼女は消えない。
ミニスカートに、スラッと伸びた素足が映える。
スクールバックを肩に掛け、ポニーテールで髪をまとめている。
歩くたびに、ポニーテールとミニスカートが小刻みに揺れる。
若い彼女が更に幼く見える。
僕は、いつもその後姿を見送る。
小さな背中で、大きな荷物を背負いながら生きてきた。
その力強さは今でも変わらない。
でも、どうしてだろう・・・。
表情の見えないはずの後姿に、言い知れぬ寂しさも感じる。
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