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[No.055-2]豆電球ネックレス

No.055-2

「はい、予告通り、これあげる」

そう言うと、豆電球ネックレスを首に掛けてくれた。
前に見せてもらった、豆電球とチェーンをくっ付けた単純なものではないみたいだ。
何やら、仕掛けがありそうだ。

「さぁ、いくわよ」
遥奈は腕まくりをして、指をポキポキ鳴らし始めた。
「ちょ、ちょ・・・ちょっと・・・」
思わず後ずさりした。
「何、びびってるのよ!冗談よ、じょ・う・だ・ん!」
(脅かすなよ・・・)

「まぁ、見ててね」

遥奈が急に抱きついてきた。
さらに自分が掛けていたネックレスの先を、僕のネックレスに押し付けた。

「わぁ、やった!光ったよ」

僕の豆電球が光った。
「それ・・・電池かい?」
「そうだよ」
どうやら、ふたつ合わせると光るような構造らしい。
「でも、これじゃ、寄り添わないと無理だよな」
「だ・か・らいいのよ」

遥奈をこんなに近くに感じることは、初めてだ。

(No.055完)
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(004)小説No.050~100」カテゴリの記事

コメント

以前読んだ「さみしいうさぎ」って本の中に、遠距離恋愛中のふたりが
ワイングラスにワインをそそぐと 相手のワイングラスが光る・・・
同じ時間に 遠く離れた場所で同時にワイングラスをかたむけて
お互いの愛を確認しあう切ないベストアイテムがあったのを 思い出しました。
人って形あるものより 光のように形のない
なにか不確かなものに魅かれちゃったりしますよね

投稿: なっち♪ | 2010年7月12日 (月) 23時48分

ワイングラスの中には、ふたりの色々な
想いが溶け込んでいるのでしょうね。
光がお互いの気持を代弁し、やさしく語
りかけてくれるのかな
形のない、なにか不確かなものに魅かれ
るか・・・。
う~ん、いいテーマです

投稿: Re:なっち♪さんへ | 2010年7月13日 (火) 23時33分

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