[No.052-2]日向ぼっこ
No.052-2
それから数日後、菜緒と逢った。
「ほら、干した、せいじゅうろうやで」
いつもと変わらない、せいじゅうろうを見せてきた。
「日焼けしたんじゃない?」
軽いジョークを返した。
「ホンマや!茶色くなってる・・・って、もとからやんかぁ!」
乗り突っ込みはさすが、大阪人だ。
「うち、干されてしもうたんよ、ありゃりゃ・・・」
一人芝居が始まった。
いつもより、今日は特に楽しげだ。
ストラップのせいじゅうろうよりも、ずっと大きいそれを巧みに操っている。
「今度、みんなで日向ぼっこしようか?」
「そやなぁ・・・海にいかへん?」
菜緒と海へ行く約束をした。
「ありがとうね」
「何だよ、あらたまって・・・」
「みんなで・・・って言ってくれたやん」
「全員で5人だよね」
「そうやで」
「・・・・」
「あー!」
二人ほぼ同時にあることに気付いた。
俺と菜緒、せいじゅうろうとその仲間が2人・・・。
「ご隠居忘れてるやん!」
菜緒の大笑いが、しばらく止むことはなかった。
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