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[No.051-2]欠けたメロディ

No.051-2

「ちょっと待って」

私はもう一度ネジを巻き直し、弾かれる1本1本を確認した。
曲が終わるまでに一度だけ突起が、欠けた歯の間を通過した。

(これが違和感の原因ね)

持ち主の幸恵も何の曲か覚えていない。
突起の音階は、謎のままだ。

(そうだ!)

音をあてはめたらいいんだ。
“ド”から始めて行けば、そのうち適当な音が見つかる。
突起のタイミングで音を鳴らせば・・・。

「・・・やめておこう」

たった、ひとつだけの問題だ。
それに問題と言えるほどの大袈裟なものでもない。
それでも音を奏でることはできる。
歯の欠けたオルゴール・・・。
それはそれで味がある。

その不完全さが丁度いい。

(No.051完)
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