[No.048-2]昨日のセンチメンタル
No.048-2
「そうだけど・・・」
「じゃ、どうして?」
はっきりしない彼に、苛立ちを感じる。
「俺たち、無理なのかな」
「そうかもしれないね」
しばらく無言が続いた。
彼は次の言葉を慎重に選んでいるように見える。
それは私も同じことだ。
「じゃ、またな」
(うそ・・・結論は出ていない、ちょっと待って)
「うん」
(だめよ・・・次の約束しなきゃ)
涙がこぼれ落ちるまでの一瞬に、あの日のことを想い出す。
想い出は、その涙と一緒に風に消えた。
「あ・し・た、逢・お・う・ね!」
泣きながら思い切り大きな声で叫んだ。
その声は、涙と一緒に風に運ばれた。
私にセンチメンタルなんて似合わない。
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