« [No.046-1]誰にも染まらずに | トップページ | [No.047-1]若葉の頃 »

[No.046-2]誰にも染まらずに

No.046-2

一人の男性と知り合った。

こんな私を隠し通すことができないのは分かっていた。
だから、正直に全てを話した。
彼は結婚しているので、さすがに一緒には住めない。
ましてやそんな関係も望んでいない。

私は、何でも相談した。

その度に、温かく応えてくれた。
彼は決して、自分の意見を私に押し付けようとはしなかった。
弱気だからじゃない。

「答えは自分の中にあるんだよ」

以前、彼が話してくれた。
自分を見つめ直すこと・・・。
自分を捨てることよりも、辛くて苦しい・・・。

「一緒に答えを見つけよう」

私の中の私を、彼も探してくれている。
でも、随分と彼を苦しめた。
定期的に襲ってくる感情の起伏を、時として抑えることができない。
それを彼にぶつけた。
その度に、私と一緒に泣いてくれた。

仕事の都合で離れてしまった彼から月に一度、はがきが届くようになった。
いつも、裏面は白紙のままで、何も書かれていない。
そこに、私は“今の自分”を書き込むことにした。
なんとなく、そうしたい気持ちに駆られる。

そして、年に一度、そのはがきを読みに来てくれる人がいる。

(No.046完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ web拍手 by FC2

| |

« [No.046-1]誰にも染まらずに | トップページ | [No.047-1]若葉の頃 »

(001)小説No.001~050」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.046-2]誰にも染まらずに:

« [No.046-1]誰にも染まらずに | トップページ | [No.047-1]若葉の頃 »