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[No.044-2]窓辺から

No.044-2

店内に流れる軽やかな音楽。
やや、遠くに聞こえる人の雑踏。
壁一枚を挟んで、対照的とも言える空間が広がる。

何も考えない。
何も考えていない。
そんな時こそ、逆に考えられる。
あえて“大勢の中の一人”を自分自身で演出する。

「お待たせしました」

店員が、アイスティーを運んできた。
微かな紅茶の香りは、小さな私の空間を更に演出する。

(しばらく、外を眺めていよう)

通り過ぎる人波みは、いつしか視界から消えていた。
本当は、大勢の人が歩いているのに。

『カラン・・・』

「あ・・・」
アイスティーの氷が音をたてて溶けた。
全てがまた始まった気がした。

(No.044完)
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