[No.044-2]窓辺から
No.044-2
店内に流れる軽やかな音楽。
やや、遠くに聞こえる人の雑踏。
壁一枚を挟んで、対照的とも言える空間が広がる。
何も考えない。
何も考えていない。
そんな時こそ、逆に考えられる。
あえて“大勢の中の一人”を自分自身で演出する。
「お待たせしました」
店員が、アイスティーを運んできた。
微かな紅茶の香りは、小さな私の空間を更に演出する。
(しばらく、外を眺めていよう)
通り過ぎる人波みは、いつしか視界から消えていた。
本当は、大勢の人が歩いているのに。
『カラン・・・』
「あ・・・」
アイスティーの氷が音をたてて溶けた。
全てがまた始まった気がした。
| 固定リンク | 0
「(001)小説No.001~050」カテゴリの記事
- [No.050-2]オレンジ色の明日へ(2009.06.17)
- [No.050-1]オレンジ色の明日へ(2009.06.16)
- [No.049-2]上手な恋の忘れ方(2009.06.15)
- [No.049-1]上手な恋の忘れ方(2009.06.14)
- [No.048-2]昨日のセンチメンタル(2009.06.12)
コメント