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[No.041-1]あの虹を越えて

No.041-1

虹に出逢うチャンスはそう多くない。

「前に見たのはいつだったかな」

目の前でアーチを描く七色の虹を、私は冷静に見ている。
雨上がり・・・。
そう、雨上がりに見ることができるから価値がある。

「早く、止めばいいのに」
「えっ、なに?雨でも降ってきたの」

独り言で、友人を慌てさせたこともある。
私にとっての雨は、目には見えない。
悲しみの雨に濡れて、途方に暮れることもある。
だから現実の虹に、どこか嫉妬さえ覚える。

私にとっての虹。
心に掛かるアーチ。
いつになったら、雨は上がるのだろう。

(消えていくのね)

いつしか虹は、青い空に同化するように消えていった。
少し、日差しが強くなった気がする。
まだ、私の心は晴れていないのに。

(No.041-2へ続く)

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