[No.038-1]純愛
No.038-1
「えっ!私が?」
友人のレベッカからのお願いに唖然とした。
レベッカは、そこそこ有名なバンドのボーカルを担当している。
もちろん、彼女は純粋な日本人だ。
唖然とした理由には、2つある。
素人の私に、作詞を依頼してきたこと。
そして、何より驚いたのは、その依頼した歌詞の内容だ。
「純愛物で、おねがい」
「純愛?」
「そうよ。誰もが、恥ずかしくなるほどの歌詞で頼むわよ!」
レベッカのバンドはヘヴィメタルのまさに王道のバンドだ。
そんなバンドが、純愛だなんて。
「その恥ずかしさ、その羞恥心が魂ぃを・・・」
(あぁ・・・始まった)
「わ、わかったから!でも、どうして私なのよ?」
「あんた、得意でしょ?恥ずかしい歌詞が」
「もぅ・・・アレ、まだ覚えてるの?」
好きだった曲をイメージして、そこに歌詞を付けた。
高校の卒業文集に載せた淡い恋心・・・。
憧れの先輩の卒業を目前に控えて、勇気を出して告白したこと。
そして、それが叶わなかったこと。
その歌詞にみんなが共感してくれた。
「本当に私でいいの?」
「当時をもう一度、リメイクしてよ」
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