[No.037-2]ラジャー!
No.037-2
綾乃は感情の浮き沈みが激しい。
それは単にわがままではなく、心の傷が・・・そう、彼女を傷付けて来たのは、僕ら大人達だ。
だからこそ、彼女のその一言には、意味がある。
「今度、お茶しに行こうよ」
何気ない会話や予定が、明日をつないでくれる。
彼女の力になりたい。
そして、最後にその一言を待っている。
「なぁ、今度いつ逢えるん?」
「来週なら、大丈夫だと思うけど・・・あとでメールで連絡するよ」
「そやね、待ってるわ」
「えっと・・・来週、来週・・・」
最近、仕事の都合で先のスケジュールがいっぱいだ。
だから、綾乃に即答しなかった訳ではない。
メールをすれば、僕にとっての最大のイベントが待ち構えているからだ。
『来週の木曜日の夜、大丈夫だよ』
綾乃にメールした。
何度かメールのやり取りが続いた。
(そろそろかな・・・)
『じゃ、来週』
僕の期待は最高潮に達した。
『ラジ・・・』
(来た!)
『ラジャりました!』
彼女の楽しい裏切りに、人生最大の笑いを経験した。
| 固定リンク | 0
「(001)小説No.001~050」カテゴリの記事
- [No.050-2]オレンジ色の明日へ(2009.06.17)
- [No.050-1]オレンジ色の明日へ(2009.06.16)
- [No.049-2]上手な恋の忘れ方(2009.06.15)
- [No.049-1]上手な恋の忘れ方(2009.06.14)
- [No.048-2]昨日のセンチメンタル(2009.06.12)
コメント