[No.034-2]想い出の鍵
No.034-2
歌詞がその時の心境と重なることがある。
ただ、全てそうとも言えない。
それに、歌が鍵の形を決めるんじゃない。
その時の心境に形がある。
(あの時の鍵はまだ見つからない)
彼とのエピソードはある。
でも、今は想い出す心境でもない。
「やっぱり、まどかには鍵が必要ね」
今日のドライブも、恵が私を気遣って誘ってくれた。
短大で初めて男性と付き合い、初めて別れた。
恵もそれを知っている。
だから、恵のおせっかいは、彼女なりのやさしさだ。
カーラジオからは、懐かしい歌が次々聞こえている。
「この歌・・・」
(あ・・・)
無意識に声が出てしまった。
「鍵穴に、ピタリきたようね?」
恵は私の一言を聞き逃していなかった。
「見つかったようね、彼との想い出の鍵が」
恵の勘は怖いほど鋭い。
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