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[No.34-1]想い出の鍵

No.34-1

「わぁ!懐かしいな」
カーラジオから、学生の頃に聞いた歌が聞こえてきた。

写真や今ならビデオカメラで撮影した映像もそうだろう。
とにかく“視覚”に訴えるものは情報量が多い。
でも、意外に、想い出すものは少ない。

「この歌に何か想い出でも?」
恵がすかさず聞いてきた。
「ううん。これと言ったエピソードはないんだけど・・・」
丁度、この歌が流行している時に、初めて男性と付き合った。
短大に入学して、すぐの頃だった。

「歌ってね・・・鍵なのよね」
「カギ・・・って、キーの鍵のこと?」
恵が確認してきた。
「そうよ、想い出の鍵ね」
「で、この歌がその鍵で・・・」
恵の顔が少し、ニヤケてくるのが分かる。
(スイッチ入れちゃったかな)
「その鍵で開けたら・・・」
「ど・ん・な、想い出が入ってるのかな・・・まどかさん?」
(言うんじゃなかった)
「だから!これと言ったエピソードはないのよ」

でも、不思議だ。
同じ頃に聞いた歌でも、そこから想い出される内容は異なる。

「鍵には、形がある・・・とでも、言いたいの?」
恵の勘は相変わらず鋭い。

(No.34-2へ続く)

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