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[No.33-1]夕焼けは晴れ

No.33-1

夕焼けは晴れ、朝焼けは雨・・・。

いつからだろうか。
夕焼けを見ると、最初に頭の中に浮かぶ言葉だ。

「あした、晴れるね」

美沙も同じことをよく口にする。

ある日、美沙に聞いた。
「どうして晴れるのか、知ってる?」
「ううん、知らないけど」
美沙の目が、その答えを求めているように見えた。
「実は、僕も知らないだ」
「な~んだ、頼りにならないわね」
言葉とは裏腹に、笑顔で応えてくれた。

気象的に、確立はそんなに高くないらしい。
本当は、晴れる理由も、雨になる理由も知っている。

「夕焼けを見るとね、元気になるんだ」
「どうして?」
「だって、明日、絶対晴れるんだもん!」
美沙が以前、話してくれた。
彼女にとって、“明日”はそんなに簡単に訪れるものではない。
明日を予感させる、今日の終わりに一喜一憂する。

「ごめん、ごめん。理由は調べておくよ」
「約束ね!」
「分かった。じゃ、また明日来るね」

僕は病室を後にした。

(No.33-2へ続く)

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