[No.029-2]ノスタルジア
No.029-2
「懐かしいな」
娘の写真がアルバムからスルリと落ちてきた。
娘は人形を持つと、ご機嫌になった。
そのせいだろうか、娘が成長しても記念写真には内緒でその人形を忍ばせている。
「ねぇ、お母さん・・・ちょっと聞きたいんだけど?」
ある日、娘から電話があった。
「一人暮らし始めた時、写真撮ってくれたよね?」
(懐かしいな)
あの時を思い出す。
(こうやって、母も私と同じことをしたんだよね?)
「人形・・・?さぁ、覚えていないけど」
それからも、時々、電話がある。
あの人形が親子の絆をつないでいるのかもしれない。
目線の先の人形は、いつも微笑んでいる。
たくさんの想い出を抱えながら。
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