[No.024-2]一人だけの入学式
No.024-2
(確か・・・この駅だったよな)
ネット上の地図から、あの駅を特定する。
「がっこう・・・学校・・・あった!」
駅の近くに、“音大”と書かれた大学が見つかった。
(多分、これだろうな)
『明日、22時に音大前で待つ』
美紀にメールを送った。
桜並木の見事なキャンパスが、僕らを出迎える、でも・・・。
「ちょっと、遅すぎたな」
そこに、花びらはほとんど残っていない。
花びらが並木道をピンク色に染めている。
「わたしね、この大学に入りたかったの」
それから、その夢が叶わなかった理由も話してくれた。
「だから、今日、本当にありがとう」
「うん・・・桜はちょっと残念だったけど」
「そんなことないよ、ほら」
桜の木の下に、小さな水たまりがある。
そこに、花びらがユラユラただよっている。
水たまりに映る桜は、まるで風にそよぐかのようだった。
(No.024完)
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