[No.023-2]カエルのご隠居
No.023-2
いじめ、両親の度重なる離婚と虐待・・・。
他にも彼女が話す内容は、どれも衝撃的な内容だったことを覚えている。
初めて話を聞いた時、同情する自分に嫌悪感を覚えた。
(彼女はそんなつもりで話したんじゃない)
だから、彼女と向き合おうと思った。
「逃げずに、私を見てほしい」
菜緒の瞳の奥から、そんな叫び声が聞こえた気がした。
「ほんま、暑い日やね~。カエルさんは大丈夫かいな?」
『カエルだけに、暑いの苦手やし』
カエルはそう言って、テーブルの陰に隠れた。
ある日、偶然にカエルの名前を知ることになった。
「ご隠居さんは、うちで寝てるねん」
(あのカエルは“ご隠居”と言う名前だったんだ)
手のひらサイズの畳の上に、ご隠居が布団をかぶって寝ている写メが送られてきた。
かたわらには“当時のカエル”にプレゼントした、おもちゃのお菓子が置いてある。
そこには、幸せがいっぱい詰まっていた。
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