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[No.023-1]カエルのご隠居

No.023-1 [No.007-1]せいじゅうろう

(もしかして・・・)
やはり菜緒が、カエルのぬいぐるみをカバンから取り出した。

見ない振りをすべきか、突っ込みを入れるべきか。
菜緒が初めて、カエルのぬいぐるみを出してきた時は、正直驚いた。
ぬいぐるみ自体ではない。
それを使って、“一人芝居を始める菜緒に”だ。

手作りのようにも見えるそれは、多少色あせた感じだ。
まん丸の体に、服が着せられている。
「カエルさんやで」
彼女の口から、そう聞くまでは未確認生物だった。

『今日、わても暑かったわ』

カエルはそう言って、菜緒が汗を拭くまねをする。
この時点で、だめな人も居るだろう。
単に変わった奴・・・それだけで片付ける人が多いはずだ。
ただ、私には微笑ましくもあり、寂しさも感じる。

(彼女の過去がそうさせているのかな?)
彼女の傷跡をそっと、辿ってみた。

(No.023-2へ続く)

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