[No.017-2]出逢いの歯車
No.017-2
「歯車?」
「そっ!機械を動かしたりする、アレよ」
ジグソーパズルは一つでもピ-スが欠けると、確かに完成はしないけど、それが何であるか見えている。
歯車を使う機械ならどうだろう。
小さな偶然と言う歯車を噛み合わせながら、出逢いに向かって動き出す。
ただ、一つでも欠けると、それは動かない。
出逢いを、“偶然の積み重ね”と言った沙紀の意見に、私も賛成だ。
でも、一つでも欠けると、出逢いは訪れない。
「それって、シビアね」
沙紀が神妙な顔になる。
「そうね。だから、出逢ったことに感謝しなきゃ」
なんとなく、自分に言っているような気もする。
「歯が欠けたり、外れたり・・・油を差さないといけないことも・・・」
「沙紀にしては、気の利いたこと言うじゃない」
「もしもし・・・」
「・・・ううん、そんなんじゃないけど、あした買い物に付き合ってくれる?」
(沙紀に、アドバイスされたようなものね)
歯車が滑らかに、動き始めた。
| 固定リンク | 0
「(001)小説No.001~050」カテゴリの記事
- [No.050-2]オレンジ色の明日へ(2009.06.17)
- [No.050-1]オレンジ色の明日へ(2009.06.16)
- [No.049-2]上手な恋の忘れ方(2009.06.15)
- [No.049-1]上手な恋の忘れ方(2009.06.14)
- [No.048-2]昨日のセンチメンタル(2009.06.12)
コメント