[No.017-1]出逢いの歯車
No.017-1
「出逢いは、ジグソーパズルみたいなものね」
沙紀は、唐突に私に言い放った。
「なんか意味ありげな発言ね」
最近、彼と上手く行ってないらしい。
「で、その出逢いのナンチャラを聞いた方がいいわけ?」
私は少しイジワルに沙紀をいじってみた。
沙紀は意外なほど、まじめにその意味を語り始めた。
(へぇー、沙紀にしては納得できる話ね)
確かにそうね。
出逢いは、偶然の積み重ねの結果とも言える。
一つでもピースが欠けると、それは完成しない。
「それでね、わたし思うんだけど・・・」
「ジグソーパズルだからこそ、もろくて壊れやすいのかもしれない」
沙紀の表情が一気に曇る。
その先にあるものが、沙紀の言葉から読み取れる。
「好きだから・・・逆に不安なのね?」
小さくうなずく沙紀に、私なりのアドバイスを加えた。
「出逢いは歯車みたいなものよ」
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