[No.016-2]空
No.016-2
メールの返事は来ない。
(やっぱり、怒るよね)
別れをも予感させるメールだったかもしれない。今になって少し後悔した。
でも、言葉にしなければ押しつぶされそうな自分がいた。
「わがままなのかな・・・わたし」
ケータイの画面に映る自分は、いつになく元気がない。
『外に出てごらん』
彼からメールがあった。
(えっ!外に?)
『出たよ』
彼にメールを返した。直後に電話が掛かってきた。
「こっちの空は青いよ。そっちはどうだい?」
「うん、こっちも透き通るように青いよ」
不思議な気分だ。電話の向こうの彼と、空で繋がっている。
「あのメール・・・心配掛けてごめんなさい」
私は、素直に謝った。
「いつでも、同じ空の下にいるよ」
彼の言葉が心強い。
「あの角を曲がれば、そこにあなたの住む街がある気がする・・・」
(だから、もう大丈夫だよ)
空の青さは、私をそんな錯覚に誘う。
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