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[No.016-1]空

No.016-1

彼との遠距離恋愛が始まってから1年が過ぎた。

「転勤が決まった」

次のセリフを待ったけど、結局、望むセリフは聞けなかった。
彼と付き合い始めて、もう4年になる。
その一言を切り出せないでいるのは、私それとも彼・・・?
それから、2週間後、彼は大阪から札幌へ旅立った。
見送る私を残して。

初めての遠距離恋愛は、ドラマで見るそれとは違った。
逢えない寂しさ、別れの辛さは、逆に二人の絆を深くした。
それは、逢うことが、ためらわれるくらいに。

『今度、いつ逢えるの?』
いつも複雑な心境でメールを送っている。
『再来週の週末になると思うな』
彼から返信があった。
(再来週か・・・)
うれしい反面、その先を考えると胸が苦しくなる。
逢えば、もっと苦しくなるのが分かっているからだ。

『逢うのが怖い・・・』
正直に彼にメールを送った。

(No.016-2へ続く)

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