[No.011-2]記憶と想い出と
No.011-2
彼から一方的に別れを告げられた。
その理由を知りたくて、何度も連絡をした。
でも、それ以来、連絡が途絶えている。
唯一、メールは送信されるものの、見ているかどうかは分からない。
(フィルターがかかっていたら・・・)
彼から返事が来ないことの答えは、幾通りも考えられる。
「最後にもう一度だけメールを送ろう」
1年振りに彼にメールを送った。ほぼ、同時にメールの受信音が鳴る。
(これが彼の答えなのね)
彼とのつながりは、これで完全に途絶えてしまった。
住み慣れた街を離れてから、4年が過ぎた。
相変わらず、日常に忙殺される日々が続いている。
(これで、いいのよ)
辛い想い出も、楽しい想い出も、いずれ記憶に変わっていく。
そして、想い出が記憶に変わった時、初めてそれと向き合うことができる。
あの日、私が出した答えだ。
| 固定リンク | 0
「(001)小説No.001~050」カテゴリの記事
- [No.050-2]オレンジ色の明日へ(2009.06.17)
- [No.050-1]オレンジ色の明日へ(2009.06.16)
- [No.049-2]上手な恋の忘れ方(2009.06.15)
- [No.049-1]上手な恋の忘れ方(2009.06.14)
- [No.048-2]昨日のセンチメンタル(2009.06.12)
コメント